本年度活動方針

田村青年会議所
創立四十五周年

一般社団法人田村青年会議所
2026年度 理事長所信

スローガン
「意志こそ力 ~田村は一つ~」

一般社団法人田村青年会議所
第45代理事長
荒井 夢子

はじめに

 私が田村青年会議所に入会したのは、2022年。当時の理事長に誘われ、その年の8月にJCIバッチを授与されました。入会した理由は、ひとつ。田村圏の未来のために、一緒に汗と涙を流せる同世代の「仲間」が欲しかったからです。
 私は、昭和61年に田村市(旧船引町)に生まれました。小学3年生から政治家を志した父のもとに生まれ、産声を上げた瞬間から否応なしに、「選挙」という運動の中で熱心に地域を想う大人たちに囲まれて育ちました。
 周囲からはよく「尊敬する人は、お父さんでしょ?」と聞かれます。もちろん、父のことも尊敬していますが、「真似したい」「目指したい」と小さい頃から思ってきたのは、むしろこの田村圏のまちの発展や人の成長のために、役職や立場に関係なく汗と涙を流せる地域の人たちの姿でした。
 今でもよく思い出す原体験がふたつあります。
 ひとつは、田村で父の遊説が行われた夜のことです。駐車場の誘導係を引き受けてくれた父の同級生たち数名が、終わった後に肩を組んで並んで帰っていく後ろ姿を見て、子どもながらに「仲間っていいな」「一緒に頑張れるって、かっこいいな」と憧れを抱きました。
 もうひとつは、幼少期におんぶをしてもらった近所のおばあちゃんに再会した日のことです。成人した私の姿を見て、「夢ちゃん、こんなに大きくなったのかい」と涙を流して抱きしめてくれました。地域の子どもの成長を自分の子どもの成長のように喜べる人がいるのかと衝撃を受けたとともに、「自分もこういう人間になりたい」と強く思いました。
 私は、こうした心揺さぶられる原体験と同じものを、今、青年会議所の活動・運動の中に見出しています。

日本の一隅を照らす会員拡大

 私は、田村青年会議所の仲間が大好きです。
 令和8年1月現在、田村青年会議所の会員数は16名と、年々減少していることは事実ですが、個性豊かで、人情に厚く、それぞれの立場で自らの役割を果たそうとする少数精鋭の仲間たちと、地域のために活動・運動できることを心から誇りに思っています。
 私は、この田村圏に、そして福島に、東北に、全国に、ひいては世界に、心から「大切だ」「大好きだ」「この人と一緒に頑張りたい」と想える仲間を、もっともっと増やしていきたいと考えています。
 このことを改めて実感したのは、2025年8月。青少年交流事業として参加した青森ねぶた祭の時でした。友好JCである青森青年会議所の皆さんが、真剣な面持ちで自分たちの「ねぶた」を運行している姿を見て、同じ空の下、遠く離れた場所でも、こうして地域のために汗を流して頑張っている仲間がいるのだと、胸が熱くなりました。
 活動エリアである田村圏という枠を超えて、全国各地に「応援したい、力になりたい」「あなたが頑張っているから私も頑張れる」と想える存在がいることは、本当に心強いことです。こうした一隅を照らす者同士のネットワークこそが、青年会議所が青年の真摯な情熱を結集し、社会貢献を通じて地域から日本を元気にする源泉たるゆえんだと確信しました。
 会員拡大は、単に人数を増やすということではありません。共に地域を想い牽引する仲間の輪を拡げていくことであり、志を同じくする青年世代が地域から日本を底上げし、未来を切り拓く希望の光となることなのです。
 私は、青年会議所を通じて出会った大切な仲間たちと共に、明るく豊かな社会の実現に向けて活動・運動を続けていきたいと強く願っています。そのために、自分の持ち場である田村市、三春町、小野町の一市二町の田村圏において、「日本の一隅を照らす会員拡大」を行い、仲間の輪を拡げてまいります。

共に地域を想い牽引するひとづくり

 田村青年会議所が事務所を置く田村郡三春町は、自由民権運動発祥の地です。この地では、河野広中をはじめとする先人たちが、多くの同志と手を取り合い、青年活動家を育て、人々が国政に参加する自由と権利を勝ち取るための運動を広げていきました。
 時代は変わっても、未来を創り、社会を変えていくのは、人であることに変わりはありません。「まちづくりは、ひとづくり」と言われるように、地域社会の主役はそこに暮らす人々です。しかしながら、現在の田村圏は、少子高齢化や若者の人口流出が進み、人が減ることによってもたらされる課題が山積しています。2025年8月1日に公表された、福島県の人口に占める65歳以上の高齢化率の統計では、田村市が県内の市部で唯一40%を超えました。
 こうした厳しい状況だからこそ、20歳から40歳までの貴重な青年世代が集う青年会議所に期待される役割、果たすべき責務は大きいのではないでしょうか。
 私は、田村青年会議所が2022年度から3カ年事業で開催した「たむら愛郷祭」や、2024年度に主管した「福島ブロック大会」、2025年度のひとづくり委員会が実施した「たむら学びの輪」事業を通じて、この田村圏には信念と情熱を持って奮闘している先輩や青年が大勢いること、希望と可能性に満ちあふれた青少年がいることに改めて気づかされました。そして、田村圏内の地域団体、商工会、行政、企業、学校など、多様な場で活躍する世代を超えた人々が集い、それぞれの力を合わせ、手を取り合って地域に貢献することの素晴らしさと底知れぬ力強さを学びました。
 山積する地域課題は、一人だけの力で解決できるものではありません。しかしながら、こうして田村圏で共に生きる多様な人同士が、地域の一員として地域全体のために連帯する「公共心・公徳心」を持ち、力を結集して、まちづくりに挑み続けることができれば、必ずや、笑顔あふれる田村圏を創り上げていけるものと信じています。
 青年会議所の使命は、青年が社会により良い変化をもたらすためにリーダーシップの開発と成長の機会を提供することです。田村青年会議所もまた、地域を前進させる原動力として、田村圏内の青年世代の人財発掘・開発・育成のプラットフォームとなることはもちろん、「誰しもが田村圏を共創する一員である」という当事者意識を持って、まちの発展や人の成長のために共に行動できる人財を、世代を超えて増やしていかなければなりません。
 私たちは、自由民権発祥の地にふさわしく、多くの同志を増やし、互いに高め合い、手を取り合って田村圏をより良い方向へと導くために、「共に地域を想い牽引するひとづくり」に取り組んでまいります。

人も自然も健やかに育つまちづくり

 地域の足として暮らしを支えてきた磐越東線の廃線(赤字路線)問題は、田村圏のまちづくりにおける喫緊の課題です。田村青年会議所の先輩方も、国鉄が膨大な赤字を抱えて廃線の危機に瀕した約40年前に、「なくしてたまるか“磐東線”」というフレーズを掲げて、存続を訴える運動を展開してきました。
 私たちは、長きにわたり問題意識を持ち続けながらも、なぜ、磐越東線を日常使いしないのでしょうか。それは、車中心の生活スタイルが定着してしまったからではないでしょうか。
 車での移動が前提となっているまちでは、公共交通を利用する機会が減るだけでなく、日常的に歩くことも少なくなります。その結果として、人と人、人とまちとの接点が失われ、この地域の自然の豊かさや、人のあたたかさ、まちの個性、自らの健康というものを十分に享受しない暮らしを送っています。効率性や利便性を重視するあまり、田村圏ならではの大切な地域資源を、知らず知らずのうちに衰退させているとも言えるのです。
 私は、親友と世界一周した際に訪れた、スペイン・バルセロナのガウディ通りの光景が今でも忘れられません。バルセロナは、車優先だったこれまでのまちの在り方を見直して、歩行者優先のまちづくりをしている都市の一つです。ガウディ通りでは、ベンチに座って休むもよし、通り沿いのカフェやバーで一杯やるもよし。老若男女、住民も、観光客も、車いすのお年寄りも、ベビーカーを押す親も、同じ空間でのびのびと楽しそうに過ごす光景が広がっていました。
 磐越東線の廃線(赤字路線)の危機は、むしろ新たなまちづくりを創造する大きな機会です。単なる交通手段の問題として考えるのではなく、私たち自身の暮らし方、ひいては田村圏のまちの在り方を前向きに捉え直し、極端に車に依存したまちづくりから日常的に歩く生活への転換を促すことによって、多岐に渡る好循環を生み出すことができます。人がまちを歩けば、地域の小売店での消費、住民同士の交流、コミュニティの再構築、観光資源の創出、環境負荷の低減、一人ひとりの健康増進、そして公共交通の利用などにもつながり、まちのあらゆる場所で田村圏の魅力である人と自然の豊かな息づかいを感じられるようになります。
 田村圏の5年後、10年後の未来を見据え、持続可能なまちとして田村圏全体の活力向上につながるよう、包括的な視点に立ち、駅を中心とした「人も自然も健やかに育つまちづくり」を進めてまいります。

地域から必要とされる組織づくり

 2026年は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から15年の節目の年を迎えます。あの未曽有の災害によって、いつ、どこで、何が起こるか分からないということ、安全安心な暮らしが当たり前ではないということを、私たちは痛いほど思い知らされました。
 青年会議所が綱領で掲げる「明るい豊かな社会」は、こうした災害と隣り合わせの日常にあっても、住民が安心して住み続けられる地域をつくるという根幹なくして成し得ることはできません。全国に有するネットワークと機動力を最大限に活かし、迅速かつ効果的に災害支援を行うことは、青年会議所だからこそできる重要な社会貢献活動の一つです。
 田村青年会議所もまた、2024年度に田村市、三春町、小野町の社会福祉協議会と災害時における協力に関する協定を締結し、2025年度に連携を強化する事業を実施しました。2026年度は、青年会議所の強みと広域連携協定を活かし、いざという時に動ける万全の体制を構築しなければなりません。
 こうした青年会議所の代名詞とも言える活動を田村圏にも根づかせることは、田村青年会議所の認知度と信頼度を向上させることにもつながります。
 青年会議所は単年度制を採用し、1年ごとに役職が入れ替わる組織です。20歳から40歳までの青年世代の会員が、「奉仕」「修練」「友情」というJC三信条のもと、新しい役割や責任を次々と経験し、地域課題を解決するための様々な活動・運動の実践を通じて、多くの学びや新たな出会い、そして自己成長の機会を得ることができます。
 一方、その全容を把握することは容易ではなく、あらゆる活動・運動を展開していても、「青年会議所は何をしている団体なのか」といった声はよく聞かれ、「忙しくて大変そう」「飲んでばかりいる」「女性は関わりにくい」といった印象を持たれることも少なくありません。青年会議所がどんなに素晴らしい組織であっても、地域や職場や家庭から正しく理解され、共感と信用を得られていなければ、存在意義や価値は薄れてしまいます。
 こうした状況を真摯に受け止め、私たちはこれまで以上に、青年会議所の理念や意義を再認識し、JAYCEEとしての自覚と責任を持つことが大切です。青年会議所だからこそできる活動・運動を展開し、自信と誇りを持って邁進する姿を周囲に示すことによって、多くの理解と共感と信用を得て「地域から必要とされる組織」へと成長してまいります。

さいごに

 2026年度は、田村青年会議所が誕生してから45周年を迎えます。
 「田村は一つ」。
 代々受け継がれてきたこの合言葉は、単なるスローガンではありません。設立当時の若き青年たちが、地域の発展のために田村郡が一丸となるべきだと心を一つに結束を誓った、強く熱い意志そのものであり、その意志があったからこそ、目の前の困難に立ち向かう力、そして未来を切り拓く力が生まれ、今日まで続く歴史を築いてきたのです。
 約20年前の平成の大合併を経て、田村郡は田村市、三春町、小野町へと分かれました。果たして、田村圏の現状はどうでしょうか。今を生きる私たちは、設立当時の先輩方に勝るとも劣らない、地域と人を想ってやまぬ、燃えたぎるような意志を持って、その力を思う存分に発揮しているでしょうか。今こそ改めて問い直す時です。
 私は、田村青年会議所が、これまでも、そしてこれからも変わらず「田村は一つ」の精神を掲げ、田村圏全体の一体感を醸成し、結束を高める存在でありたいと考えています。
 「自分たちの地域の未来は、自分たちが切り拓く」という確固たる意志を持って、地域の力を結集し、仲間と共に笑顔あふれる田村圏を創ってまいります。

基本理念

「田村は一つ」の心で、地域の力を結集し、
仲間と共に笑顔あふれる田村圏の未来を切り拓く

基本方針

 1. 日本の一隅を照らす会員拡大
 2. 共に地域を想い牽引するひとづくり
 3. 人も自然も健やかに育つまちづくり
 4. 地域から必要とされる組織づくり

2026年度組織図

(2026.4.1時点)